日々の漠然とした思いを具体化する『本当にやりたいこと』を見つけるワーク
「子育てが一段落し、ふと自分の人生を見つめ直した時に、この先何をすれば良いのか漠然とした不安を感じる」といったお声をいただくことがあります。日々の生活に追われる中で、自分の本当にやりたいことを見失ってしまったり、そもそも何がやりたいのかが分からなくなってしまったりすることは決して珍しいことではありません。
本稿では、そうした漠然とした思いを具体的な形に変え、ご自身の『本当にやりたいこと』を発見するための自己分析ワークをご紹介いたします。紙とペンを用意し、ご自身の内面とじっくり向き合う時間をお取りください。
『本当にやりたいこと』が見つかりにくい理由
なぜ私たちは、「本当にやりたいこと」を見つけることに難しさを感じるのでしょうか。その背景には、いくつかの共通する要因が存在します。
- 日々の忙しさ: 家事、仕事、介護など、日々の役割に追われる中で、自分の内面に意識を向ける余裕がないことが挙げられます。
- 固定観念や制約: 「もうこの年齢だから」「今の立場では無理だろう」といった、ご自身で設けている(あるいは社会が求める)制約が、自由な発想を妨げることがあります。
- 完璧主義: 「これぞという壮大な目標でなければ意味がない」といった考えが、小さな興味の芽を摘んでしまうこともあります。
- 自己認識の不足: 自身の価値観や強み、興味の対象を十分に理解できていない場合、どこから手をつけて良いか分からなくなることがあります。
これらの要因を理解した上で、ご自身の内面と丁寧に向き合うことで、見つけるための道筋が見えてきます。
『本当にやりたいこと』を見つけるためのワーク
これからご紹介するワークは、ご自身の過去、現在、そして未来を多角的に見つめ直すことで、『本当にやりたいこと』のヒントを見つけるためのものです。それぞれの問いかけに対し、深く考え、心に浮かんだことを正直に紙に書き出してみてください。
ステップ1: 日常の小さな「好き」や「楽しい」に気づく
私たちは日々の生活の中で、意識せずに「好き」や「楽しい」と感じている瞬間を持っています。しかし、それが当たり前になりすぎて、意識に上らないことも少なくありません。ご自身の日常を振り返り、心が動いた瞬間を丁寧に拾い上げてみましょう。
問いかけリスト: * どのような瞬間に、時間を忘れて没頭していますか? * どんな活動をしている時に、充実感や喜びを感じますか? * 人から「〇〇が得意だね」「〇〇について詳しいね」と言われることはありますか? * 休日の自由な時間があるとしたら、真っ先に何をしたいと感じますか? * お金や時間の制限が全くないとしたら、どのようなことに興味を持ち、探求したいですか?
これらの問いに対する答えを紙に書き出し、共通するテーマや傾向がないかを探してみてください。些細なことでも構いません。例えば、「誰かの話を聞いている時が楽しい」「庭いじりをしている時が落ち着く」「新しい知識を得るのが好き」など、具体的な行動や感情を記録します。
ステップ2: 過去の経験からヒントを探る
過去の経験の中には、ご自身の核となる興味や情熱が隠されていることがあります。成功体験だけでなく、困難を乗り越えた経験や、後悔していることからも大切な学びが得られます。
問いかけリスト: * これまでの人生で、最も達成感を感じた出来事は何ですか? その時、どのような役割を担い、どのような感情を抱きましたか? * 幼少期や学生時代に、夢中になっていたことや、純粋に「好き」だと感じていたことは何ですか? * 過去に「もっとこうすればよかった」と後悔していることはありますか? その経験から、何を学びましたか? * これまでで、最も勇気を出して挑戦したことは何ですか? その挑戦を通じて、どのようなことを得ましたか? * どのような状況や環境下で、ご自身の能力が最大限に発揮されたと感じますか?
過去の経験を振り返ることで、ご自身が大切にしている価値観や、本来持っている才能、そしてどのような状況で喜びを感じるのかが明確になることがあります。感情の動きや行動の源泉を深く探ることが重要です。
ステップ3: 理想の未来を具体的に描く
過去と現在を見つめたら、今度は未来にご自身の意識を向けます。制約を一度手放し、ご自身にとって「理想の未来」とはどのようなものか、自由に想像力を働かせてみましょう。
問いかけリスト: * もし時間やお金、そして世間体といった制約が一切ないとしたら、どのような生き方をしたいですか? * 5年後、10年後、理想のあなたはどのような場所で、どのような人たちと、どのような活動をしていますか? * その理想の未来のあなたは、どのような気持ちで毎日を過ごしていますか? * ご自身の人生で、最も大切にしたいと思っていることは何ですか?(例:貢献、自由、安定、成長など) * 世界に一つだけ貢献できるとしたら、どのような形で貢献したいですか?
具体的に、写真や絵、言葉で表現してみるのも良いでしょう。この未来を想像するワークは、ご自身の無意識の願望や、本当に求めているものを引き出す手助けとなります。
ステップ4: 行動可能な小さな一歩を検討する
これまでのワークを通じて見えてきた「本当にやりたいこと」のヒントを元に、今日からできる小さな行動を考えてみましょう。完璧を目指すのではなく、まずは一歩踏み出すことが重要です。
問いかけリスト: * ステップ1~3で書き出した内容の中で、特に心惹かれるテーマやキーワードは何ですか? * そのテーマやキーワードに関連して、今日からできる小さな行動は何ですか?(例:関連書籍を読んでみる、興味のある体験会に参加する、詳しい人に話を聞いてみる) * その小さな一歩を踏み出すことで、どのような変化が期待できますか? * この行動を継続するために、どのようなサポートや工夫が必要だと感じますか?
具体的な行動計画を立て、それを実践することで、漠然とした思いが現実の行動へと繋がり、新たな可能性の扉が開くことでしょう。
ワークを続ける上での心構え
このワークは一度行えば終わりというものではなく、定期的にご自身と向き合うことで、より深く自己理解を深め、変化していくものです。
- 焦らないこと: すぐに答えが見つからなくても、ご自身を責める必要はありません。思考のプロセスそのものが、自己理解へと繋がります。
- 変化を許容すること: 答えは一つではありませんし、ご自身の「やりたいこと」は年齢や経験と共に変化するものです。その変化を受け入れ、柔軟に対応していきましょう。
- 自分を肯定すること: どのような答えが出てきても、それはご自身の素直な気持ちです。ありのままのご自身を受け入れ、肯定的な姿勢で向き合い続けてください。
まとめ
『本当にやりたいこと』を見つける旅は、ご自身の内面を深く探求する貴重な機会です。今回ご紹介したワークを通じて、漠然とした不安が解消され、ご自身の人生を主体的にデザインするための羅針盤を見つける一助となれば幸いです。
ご自身のペースで、一つ一つの問いに丁寧に向き合い、新たな目標や生きがいを見つける充実した時間をお過ごしください。